注目技術

お問い合せ先:港湾・海岸グループ
■はじめに
NEWJECでは、津波来襲時における円滑な避難の検討を行うためのツールとして、津波避難シミュレーションを提案しています。

 この度、NEWJECでは、流体力学や水理学の分野で最近注目を浴びている粒子法*)(個別要素法)を応用して、人間個人を構成単位として群衆の避難行動を解析するモデルを、京都大学大学院 工学研究科 社会基盤工学専攻 後藤仁志教授との共同研究により開発を行いました。
*)http://particle.kuciv.kyoto-u.ac.jp/
■ 避難シミュレーションの必要性
 2004 年に発生したスマトラ沖地震津波の映像からもわかるように、津波が来襲する地域の住民あるいは海岸利用者にとっては迅速かつ円滑な避難が生存のための鍵になります。そのため、適切な避難路、避難階段および避難所等の確保等が非常に重要になります。

 しかし、災害時の切迫した避難と同様の状況を平常時の避難訓練等で再現するのは不可能であり、避難路、避難階段および避難所の適切性を検討する手段は決め手を欠いているのが現状です。

 そのため、仮想現実であっても群衆避難行動の進行状況を疑似体験できる避難シミュレーションが有効な手段と考えています。また、この避難シミュレーションは、津波の来襲を想定した住民のイメージトレーニング等が有効に図られるものと考えています。
■ 開発した解析モデルの特徴
1. 本解析モデルでは、要素(人間)が自ら取得した場の情報に基づいて自らが判断し、主体的に行動することをモデル化した。
2. 人間の視野を考慮して、周辺状況(他の人間および障害物の存在位置)を認識して行動することをモデル化した。
3. 避難時の移動速度は、人間個人の属性(性別、年齢、要援護者等)を考慮して、各個人に設定することが可能である。
4. 階段や坂路等の避難路の状況に合わせて、移動速度の低下等を考慮することが可能である。
5. 避難時において各個人がいる場の浸水深等に応じて、移動速度を自動的に変化させることが可能である。
6. 建物の倒壊や火災の発生による通行障害等を考慮することが可能であり、事前の防災対策を進める上で通行障害が避難過程に及ぼす影響を容易に検討することが可能である。
7. 津波だけでなく、洪水氾濫、内水氾濫および高潮浸水に対する避難シミュレーションにも当然適用できるとともに、地下街の浸水やトンネル火災に対する避難シミュレーションも実施することが可能である。
8. 計算機の処理能力等の問題から、現状の技術レベルでは数千人規模の避難シミュレーションが限界である。
■ 海水浴場に津波が来襲することを想定した避難シミュレーションの実施例
避難者は、砂浜から防潮堤を越えて雑木林背後の指定避難場所に向かいます。
海水に浸かっている避難者は移動速度を低下させています。
左図は、避難シミュレーションのアニメーション画面です。
通路 階段 (9.5MB)
全体図
堤防上 広場
関連サイト[外部リンク]
 京都大学大学院 工学研究科 社会基盤工学専攻 後藤仁志教授
  http://particle.kuciv.kyoto-u.ac.jp/