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    2021.05.19 ニュース

「砂防学会 論文賞」受賞しました

令和3年5月、国土交通省、(株)気象工学研究所、京都大学の関係皆様と当社社員の共著論文「詳細地形の影響を考慮したメソ α スケールの気象現象時間の降雨量予測に基づく土砂災害(土石流)警戒判定について」(筆頭著者当社社員)が(公社)砂防学会の「砂防学会賞 論文賞」を受賞いたしました。

(株)ニュージェックは土砂災害の要因となる豪雨について、平成28年以来研究開発を続けてきました。

その結果、土砂災害を引き起こす規模の豪雨は、前線性・台風性とも太平洋の熱と水蒸気を吸収した空気(気体)に、その空気中に浮かぶ水、則ち雲(液体)が加わった暖かく湿って重い「暖湿流」に起因することが判明してきました。この暖湿流は、比較的スケールが大きく予測のリードタイムが長いメソαスケールの気象場によってもたらされる一方、ひとたび山々に阻まれ上昇すると冷却されて豪雨となり、微細な地形の変化によって豪雨の濃淡が発生すると推定されます。
当論文では、この考えに基づき地形を詳細に取り込んだ気象モデル(WRF)を利用し、過去に土石流を発生させた前線性および台風性の幾つかの豪雨について、気象庁のMSMを対象として時間と空間を力学的にダウンスケーリングし、地形要素を詳細に評価することにより、MSMを上回る予測精度を得られることを示しました。
そして、精度向上したWRFによる予測値を土砂災害発生危険基準線(CL)に適用することにより、土砂災害発生の早期の予測が可能であることを提示したものです。
降雨予測の精度向上は砂防の分野に留まらず、ダム管理や河川の洪水予測等広い分野での活用が期待されています。また、降雨に関する技術は、過去に向いては昭和後期の大規模な災害を引き起こした豪雨の解析、未来に向いては地球温暖化における各地域の降雨変化の把握等,多くの課題について解決策を示す可能性のあるものとなっています。
「自然と人を技術で結び、持続可能で快適な未来を創る」は当社の使命です。(株)ニュージェックは今論文の受賞を嚆矢とし、降雨と災害に関連する研究開発を今後も進めて参ります。

論文 J-STAGE::https://www.jstage.jst.go.jp/article/sabo/72/4/72_3/_pdf/-char/ja
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