
八木 貫太
- 電力部門
再生可能エネルギー
グループ
水力発電チーム - 2021年入社
高等専門学校
電気工学科
10年先の水力発電所をつくる。
日本での経験を活かし、世界へ。
高専ではテニス部に所属し、部活動に打ち込んだ。勉強は得意な方ではなかったが、学会で4回受賞、論文を2本出せたことをちょっとした自慢。課外活動の一環でフィリピンへ人道支援に行った際、電気の通っていない村での生活を目の当たりにし、電気を届ける仕事に就くことを決める。
EPISODE 1 現在までのキャリア
度胸がついた、
インドネシア人40名に向けた
プレゼン。
私が所属する水力発電チームでは、国や自治体が所有する水力発電所の調査から設計までを行っています。その中で、私は電気設備の設計を担当しています。具体的には、水力発電の要となる水車や発電機、それらを事故や故障から守る保護装置や監視装置、そして発電した電気を電力会社の電線に送るための変圧器や送電線などがあります。
入社からずっと、国内で水力発電の電気設計を担当してきましたが、2年目に「海外研修プログラム」を利用して、4ヶ月間インドネシアへ。当国初の揚水発電プロジェクトに参加しました。揚水発電とは、昼間の電力需要が高いときに水を落として発電し、夜間など電力を使わないときに余った電力で水を上のダムに戻す発電方式。それによって、より安定した電力供給が実現できます。
現地での体験で一番印象に残っているのは、インドネシア国営電力会社40名の方を相手に、揚水発電の仕組みをプレゼンテーションしたこと。まだ入社2年目で知識も少なく、自信がありませんでしたが、上司から「経験が大事だからやってみろ」と背中を押され、1週間かけて準備して臨みました。そして当日、拙い英語で無事に説明しましたが反応はイマイチ。後で知ったのですが、ほとんどの方が英語を使えなかったようです(笑)。結局、後日英語を話せる少人数の会議で説明をすることになったのですが、未知の世界に飛び込む度胸がつきました。

EPISODE 2 仕事の面白さや難しさ
電気、土木、建築。
各担当者の思いが一つになる
喜び。
水力発電の設計は、大きく3段階あります。1つは「可能性調査」。計画地へ行き、流量や落差から発電量を算出し、経済的メリットがあるか見極めます。次に「基本設計」で技術的な要件や費用などの大まかな枠組みを決めて、最後に「詳細設計」で実際の施工に向けた仕様を詰めていきます。その中でも私がやりがいを感じるのは「詳細設計」ですね。おぼろげだった計画が、「ここに水車を置く」「変圧器はこの仕様の製品を使う」という風にどんどん具体的にしていくので、自分がその水力発電所つくっている手応えを感じるんです。一方で、発電所は、電気だけでなく、土木、建築も密接に関わっているので、お互いに連携をとりながら詳細を詰める難しさもあります。
例えば、水力発電所では、まず水車の位置と大きさを決めるのですが、「ここに水車を置きたい」と電気側から提案しますが、それに対して建築や土木から「柱があるからもう少しずらしてほしい」「強度が足りないので、他の場所にしてほしい」といった意見が出ます。また、建築・土木の仕様が変わったことで電気設備の位置を変えることもあり、それによって配線設計をやり直すことも。何度も同じ箇所の設計をやり直し、ときには議論が白熱することもあり、苦しいことも多いのですが、だからこそ、チーム全員で「これでいこう」と意見が一つにまとまって、設計成果品が完成した瞬間は、達成感もひとしおです。

EPISODE 3 社会への貢献やビジョン
将来は、世界の
インフラが整っていない町に
電気を届けたい。
今、日本では国の再生可能エネルギー施策が進んでいて、全国各地で水力発電の導入が広がっています。その影響で、水車や発電機メーカーの供給が追いつかず、私が計画している発電所も完成までに約10年かかることもざらです。10年先の話ではありますが、社会のエネルギー問題に対して、自分が貢献できていると思うととても誇らしいです。また、プロジェクト自体は多く、技術者として成長する機会がたくさんあるこの状況はとてもありがたいと感じています。
こうして国内で培った経験を活かして、海外のエネルギー問題にも取り組んでみたいですね。学生時代にフィリピンのスラム街へ人道支援に行った際、電気のない生活に衝撃を受けました。夜はもちろん、昼間でも建物の中は暗く、家電も使えなければ、医療も十分に行われていません。電力の重要性を強く感じ、「世界中に電気を届けたい」と思ったことが、この道を選んだ原点。もっと技術力を磨いて、国内外の暮らしを支えるエンジニアになりたいです。

私の大事にする
行動指針
変化を楽しむ
詳細設計において日々仕様が変わりますし、そもそも水力発電所はその土地土地の条件に合わせてつくる特注品。自分の意思に関係なく変わるものに対して、柔軟に対応するよう心がけています。
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